需要が高まるM&Aの実情とは

M&Aで従業員を守る利点

売り手にとってM&Aの最大の利点は従業員の雇用を守れる点です。
通常、買い手は売り手の従業員をまとめて受け入れるため、リストラや突然の解雇といったリスクを避けられます。
経営が悪化した会社をそのまま存続させてしまうと、倒産による雇用喪失や給与未払いなど深刻な事態が起きる可能性があります。
その前に信頼できる相手へ譲渡すれば、従業員の生活を守りながら会社の事業を継続できます。
さらに株式譲渡によるキャピタルゲインを得ることも可能です。
この資金を負債返済や退職金に充てれば、従業員への責任を果たせます。
加えて大手企業に吸収されれば、自社のブランド力や信用力が高まり、従業員がより安心して働ける環境が整うのも大きな魅力です。

注意すべきデメリット

M&Aにはメリットだけでなく注意点も多く存在します。
まず大きな課題は時間と手間です。
買い手候補を探すだけでも数か月から年単位の期間を要し、交渉や条件調整にさらに時間がかかります。
候補が見つかっても話し合いの途中で破談になることも少なくありません。
また、M&A後は取引先との関係が変化するリスクもあります。
これまで良好だった取引が新しい経営方針で打ち切られる可能性があり、信頼関係を損なう恐れがあります。
従業員にとっても経営方針の変化に対応できず退職者が出るケースがあります。
このようにM&Aにはデメリットが伴うため、慎重に準備を整える必要があります。